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料理漫画目録

【感想】『甘々と稲妻 2巻』(雨隠ギド)~季節外れの、里芋の煮つけ~

更新日:

雨隠ギドさん作のほのぼの食卓系漫画(レシピ付)。

2巻は新しいキャラクターも増えて主役級キャラの違った表情が見えたり、料理を通じて背景や伏線を深読み出来たり。
1巻も充分おもしろかったのですが、ぐぐっと深みが増した感じです。

2巻を読んでドーナツと餃子を作っちゃいました。
特にドーナツは簡単で美味しく、娘もむしゃむしゃ食べてました。

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内容紹介

妻を亡くした高校教師・犬塚は、単身で娘・つむぎの子育てに奮闘中。
料理が苦手な彼だが、ひょんなことから、教え子の小鳥と一緒にご飯を作って娘と3人で食べることに。
ピーマン嫌いのつむぎのために知恵を絞ったり、亡き妻の得意料理・イカと里芋の煮物に挑戦したり、大勢で餃子パーティーをしたり。
大事な人と食卓を囲む喜びを丁寧に描く第2巻!

感想

1巻の感想は別ブログ「育児漫画目録」に書きました。
『甘々と稲妻』(雨隠ギド)感想~家族でごはんを食べる、ということ~

2巻では6話~10話の5話を収録。
漫画に掲載されたレシピを元に再現料理を作ったことで色々な発見がありました。

ストーリー

メインのキャラクター

メインキャラは3人。

妻を亡くした高校教師、犬塚。
妻を亡くしたのをきっかけに家事全般を行うことになったようで、料理、特に味付けが苦手。
2巻で両親が健在であること、3人兄姉弟の末っ子だということが判明(ちょっと意外)。年末には帰省したりするんだろうか…。

犬塚の娘で、幼稚園の年中さんのつむぎちゃん(年中=4歳児クラス。4月1日時点で4歳の子が通う。誕生日の描写が無いからつむぎちゃんは4歳)。
食べた時に「なんじゃーこれー」というのが最近の流行らしい。

犬塚の勤務先(高校)の生徒で、小料理屋の娘・小鳥ちゃん。
トラウマがあって包丁が持てないけれど、美味しいものが好きで食べてるし、お母さんが料理を作る様子も見ているので、料理の手順や味付けの知識はある。

今回登場した新キャラクター

犬塚と妻の高校時代の同級生、ヤギさん。
小鳥ちゃんの母が営む小料理屋の近所でバーを経営している(らしい)。

私はヤギさんみたいなキャラクター、好きです。

小鳥ちゃんの親友で八百屋の娘・小鹿しのぶ。
お母さん同士も仲が良いみたいだし、仲の良い幼馴染かな。

この漫画は、登場するキャラクターの表情が豊かなのが楽しいです。
2巻ではつむぎちゃんに手伝いをお願いする場面が好き。

無意識ながら親バカぶりが言葉に表れている犬塚先生もよかったなあ…。

料理や食の描写

料理の絵も素晴らしいと思いますが、つむぎちゃん、小鳥ちゃん、犬塚の表情が「美味しそう」という気持ちを何倍にもしてくれます。

読んだら、誰かと一緒に食卓を囲みたくなる。
いつもよりちょっとだけ丁寧にごはんを用意して、ゆっくり食べようと思う。

そんな漫画です。

第6話 きらいな野菜とコロコログラタン

子どもってクリームソース好きだよな…。なんでだろう…。

『甘々と稲妻』はレシピにレンジが全く出てきませんが、ペシャメルソースはレンジでチンした方が失敗なく簡単だと思います…。
(なんとなくだけど、ヤギさんはレンジ使いそうな気がする…。)

グラタンを作る途中、ピーマンが苦手なつむぎちゃんがピーマンにジュースを注いで飲む場面が好き。

第7話 お休みの日の特別ドーナツ

私がドーナツを作る時、一番難しいと感じるのは「揚げ」です。
低温でじっくりが基本。でも、せっかちな自分はついつい温度を上げ過ぎてしまい、焦がしてしまう…。
「ドーナツを低温でじっくり揚げる」ことに成功しているのは、犬塚の慎重な性格によるものかもしれません。私には唐揚げの方が簡単だわ…。

つむぎちゃんが食べる様子がとても美味しそうだったので後日、作りました。
ふかふかで美味しかった。

第8話 明日もおいしい里芋とイカの煮物

自分的には2巻の山場。
後程、細かい感想を書きます。

第9話 お友達とギョーザパーティ

小鳥ちゃんもつむぎちゃんもかわいいね!…という回。
餃子も食べたくなったので、後で皮から作りました…。
『甘々と稲妻』2巻の手作り餃子を作ってみた!

そういえば、この小さなコマ。しのぶ、小鳥ちゃんに続いて、突然ヤギさんが表れたのが不思議だったんですが…。

ギョーザパーティに招待された3人、という伏線だったのね。細かいわ―。

第10話 お祭りと五平餅

「子どもがいなくなる恐ろしさ」が描かれた回。
犬塚とシンクロして読むと胃が痛くて仕方ない…。
怒鳴るよ、そりゃ。怒鳴っても仕方ないんだけどさー。

そして「子どもが泣いた後の表情の変化」が丁寧に描かれているなあ、と感心する。
1巻の喧嘩の後のふてくされた様子や、なかなか謝れない雰囲気も上手いと思ったけれど、それとはまた違った表情で。作者の観察力、すごいな。

小鳥ちゃんのお父さんがちらっと出ていたけれど、どうやらご存命っぽい。
五平餅を作るとか渋いわ。料理人なのだろうか…。

季節外れの、里芋の煮つけ

今回、一番ぐっと来たのはこの話でした。
最初は「最悪だ…」と思ったけれど、時間をかけて考えながら読み直したら、思った以上に深かった。

今はブログを書いていることもあり、何度も丁寧に読むのですが、以前は1回読んで終わっていて。ひっかかる描写があっても、深く考えたり読み直すことはほとんどありませんでした。

8話の場面も、単純に読むと流してしまいそうなエピソード。
丁寧に読まないと作家さんの真意をつかみ損ねちゃうなあ、と反省しました。

2巻で登場した料理と旬

2巻の作中での季節は、5月くらい~6月末です。
8話で幼稚園の参観日や期末テスト前との描写があり、10話で「夏越の大祓」(一般に6月末に開催される祭り)が描かれているので。

メニューを見ると、6話でグラタンが登場。
時期外れだけどピーマンは旬だし、クリーム系は子どもが好きな味で野菜を隠せるので、納得。

7話でドーナツが登場。
揚げ物をするには暑いし、気温が高いとハニーグレーズが固まらなくで失敗しそう…などと思いましたが、初心者向けの簡単なお菓子だし、小鳥ちゃんが食べたそうだったし、まあ、問題ないかと納得。

8話で里芋の煮物がでて。
里芋の旬は秋。初物が出るのは8月末(お盆過ぎ)くらい。手に入れやすいのは9-10月からではなかろうか。

6月に里芋の煮物。
流石にそれはどうなんだろう…?と思いました。

今の世の中、通年でも売っていると思いますが、皮付きは手に入れにくい時期(冷凍、水煮のものは手に入ります)。
「旬」を知らないつむぎちゃんのリクエストとはいえ、小鳥ちゃんに「里芋の煮つけ」のレシピを聞かれた恵さんは素直に教えるのだろうか。恵さんは料理人だし、旬にはうるさい気がするのですが…。

そもそも、小鳥ちゃんは里芋の旬を知らないのだろうか。
あんなに食いしん坊なのに?

「ちょっと気にし過ぎかな?1巻は旬とか関係ないメニューばかりだったし…。」などと思いつつ読んでいたら、9話目の餃子で「いいやつがあったから(餃子に)白菜を入れる」。

……ええと。白菜の旬は……冬…。
(※最近は夏に収穫できる品種もあるので、夏に売ってある店も増えました。)

あとがきで作者は料理が出来ないとわかり、旬を気にしないで描いたのか…と残念な気持ちになりました。
「あー…。やっちゃったなあ…。嫌なことに気付いちゃった…」と。
これまで、伏線や描写が丁寧だった分、がっくり来ました。

モヤモヤしてしまい、楽しんでいた自分の気持ちにまで泥を塗られたようで、感想を書けなくなりました。

1巻を読み直す

モヤモヤが続く中、ドーナツや餃子を作りました。
餃子のレシピを見たら「肉に水を混ぜる」とあり、そういえば鳥の唐揚げも水を含ませてたような…と思い出し、1巻を最初から読み直すことにしました。

読んでいたら、豚汁の回で小鳥ちゃんが里芋の旬について語っていました。
豚汁に入れるイモ、「冬は里芋」と。

小鳥ちゃんは里芋の旬を知っている。
ということは、作者も里芋の旬を知っている。

つむぎちゃんが6月に「里芋の煮つけ」リクエストすることは不自然ではない。
でも、里芋の旬を知っている作者が「6月に」里芋の煮つけを描くのは不自然。

あえて「季節外れの里芋の煮物」を描いた。
秋に美味しい里芋を、6月に登場させた作者の意図は何なのか。

つむぎちゃんのママの味=里芋の理由

作者の目線で単純に考えた場合、6月の煮物なら、ジャガイモでいい。肉じゃがとか、じゃがいものそぼろ煮とか。カレーを作ってもいいだろう。
6月のじゃがいもは美味しいし安い。子どもが好きな味だし、簡単。
他にも茄子とかオクラとか、夏が旬で6月に食べられる野菜はたくさんある(茄子やオクラは子どもが好む野菜とは言い難いですが…)。

何故じゃがいもではなく、里芋なのか。
6月が旬の野菜でなく、秋に食べるであろう里芋なのか。

そもそも、つむぎちゃんが4歳だとしたら、秋の記憶ってほんの1-2年分しかないんじゃないかなあ…。

はた、と気付きました。
つむぎちゃんのママが亡くなったのは、桜の頃の半年くらい前。つまり、9~10月くらい。

つむぎちゃんの記憶に残る「ママが作ってくれた料理」=里芋とイカの煮物って、ママが亡くなるちょっと前に作った料理ってこと…?

普段と比べて「つむぎちゃんのママの存在」を感じさせる描写が多い気はしていたのですが、その裏にはこういう作者の意図があったのではないでしょうか。

気付いた時、鳥肌が立ちました。

そう考えると、小鳥ちゃんが「犬塚家の味」にこだわっていた理由も説明がつきます。
小鳥ちゃんはつむぎちゃんの気持ちを想像しつつ、事情を説明した上で恵さんに相談したのでしょう。
旬を考えること以上に大切な想いがあるのだと。

犬塚先生はこの辺の気持ちには全く気付いていない気がしますが…。

1巻と同じで父の想いと娘の想いが微妙にずれている感じで、それを小鳥ちゃんが上手くカバーしている感じがしました。

ぱっと読んだ印象で決めつけるのはよくないなあ…と反省しました。

やっと2巻の感想を書けて満足しました。
3巻も楽しみです。

===

祝☆9月5日に3巻発売。
今回はKindle版も同時発売だ!

同じ日に発売のgood!アフタヌーンに別冊付録がつくらしいですよ…。700円。
ううーん、どうしよう…。

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