久住昌之さんが漫画担当の和泉晴紀さんと「泉昌之」名義で発表した作品です。
2011年発売なので、『花のズボラ飯』のちょっと後の新しめの作品。
『孤独のグルメ』とはまた違った、テンションの高い漫画です。
過去にお知らせしたKindleセール情報はこちら。
●Kindleオトク情報
食の軍師(泉正之/原作:久住昌之、漫画:和泉晴紀)
全182ページ、漫画は1話12~16ページで8編を収録。
電子書籍版は通常価格400円。
10月31日~11月6日まで?期間限定で無料配信中 ※明確な終了日は告知されていません
単行本は全3巻で、2巻と3巻は通常価格です。
ストーリー
普段、私たちが何気なく食べている料理…だが、そこには奥深い兵法が潜んでいる!!何を注文するのか? どんな順番で注文するのか? この選択によって「食の軍師」としての知力・能力・経験が現れる。
主人公は、自分自身を「三国志」の名軍師・諸葛亮孔明になぞらえ、様々な戦略を繰り出す!! 攻める相手は、料理。おでん、もつ焼、寿司、蕎麦、とんかつ、餃子、焼肉、弁当などなど、私たち一般人が日常的に食べているメニューがズラリ。だからこそ、面白い!!
様々な店で繰り出される陣形!! 店を訪れる客との真剣勝負!! このこだわり、この緻密さ!! 一度読めば皆、軍師の気持ちになること間違いなし!!これぞまさに、エンターテインメント・グルメ漫画である!!!
主人公・本郷が軍師気分で2つの戦いの戦局を見極める様子を描きながら、漫画は進行していきます。
1つは食べ物との戦い。主人公が店に入り、陣形などを考慮しつつ注文して、食べる。
もう1つは同席した客との戦い。近くに座ったパーカーの男性を勝手にライバル視し、一方的に戦いを挑みながら、相手の食べ方を解説しつつ、自分のごはんの攻め方を考えます。
…うん。説明が難しいな。
そもそも陣形ってなんだよ!…とも思うのですが、私も頭の中で実況するタイプなので「そうそう、あるよね!」としか思わないんですよ…。
同席した他人にライバル心を燃やすのも…やりませんか?やりますよね?(何か心配になってきた)。
ここまでライバル心むき出しではありませんが、注文の様子を見て「ほうほう、それ行くのね…」みたいなことを思ったりします。
同じ久住さんが原作を務める『孤独のグルメ』のような雰囲気を期待するとイメージと違ってしまうと思います。
個人的な感想ですが、絵柄が濃いせいかiPhoneアプリ版Kindleでは読みにくいとも感じました。
感想
終始テンションが高く、勢いがあります。
今回は感想と兼ねつつ、ちょっと変わった読み方を紹介します。
『食の軍師』で描かれる蕎麦屋での1コマ
扱われるメニューはおでん、寿司、トンカツなどがありますが、私は蕎麦の話が好き。一番バランスが良いと思うのですよ。
なにより主人公・本郷さんの浮かれる様子や「早くも二杯目気をつけなくっちゃ」と冷酒をちびりと飲む姿が大変かわいらしい。
蕎麦屋でこれだけ盛り上がれる人もなかなかいないと思います。最後のオチも好き。
『野武士のグルメ』と比べて読むと…
1巻に収録された蕎麦の話は、『漫画版 野武士のグルメ』(原作:久住昌之、漫画:土山しげる)と比較しつつ読むと楽しいです。
こちらは定年退職した中年・香住武が、悠々自適にひとりグルメを楽しむ漫画。
10月に公開された「第14回 銀座の蕎麦屋で昼酒」は、『食の軍師』蕎麦編と注文したメニューがほぼ同じなのです。
ニシンの棒煮の扱いは『食の軍師』と比べると全然違いますね。
第14回はコマ割が独特なのも楽しい。ニシンも卵焼きも美味しそうでした。
シナリオだけで読んだら違いがわからないのでは…?と思うくらい似ている分、漫画家による違いが分かりやすいと感じます。
漫画家として重視しているテーマ(料理かキャラクターか?)、作品自体の雰囲気や読んだ後の余韻が全く違っていておもしろい。
『百合子のひとりめし』を読んだせいか、他の製作過程も見てみたいなあ。
単行本は1巻発売中。
『目玉焼きの黄味、いつつぶす?』と比べて読むと…
なんとなくですが『食の軍師』は、おおひなたごうさんの『目玉焼きの黄味、いつつぶす?』が好きな人が楽しめる気がします。
逆に、『目玉焼きの黄味、いつつぶす?』が好きな人は試してみても良いかも。
このマンガは「食べ方」をテーマにしたギャグ漫画。色々な食べ方を見るのもおもしろいです。
蕎麦は3巻に登場します。主人公のジローさんが入るのは立ち食いソバ屋。
この先がすごくてね…。全く想像しなかった蕎麦の食べ方に遭遇できるんですよ。その食べ方をする人物は実在しているらしいのですよ。おおひなた先生の情報収集力に乾杯…。
●出版社のサイトで一話が試読できます
※Kindleは「今すぐ無料サンプルを送信」をクリックすれば試読可能です。
蕎麦については『めしばな刑事タチバナ』1巻でも、”立ち食いそば大論争”をやってました。
こちらは食べ方というより「立ち食いソバ屋の特色」なので省きますが、あまり利用しない自分としては、そんなに違うのか…!と驚きました。
話が逸れてきた(という自覚はある)。
全然関係ないのだけれど、角川書店の温竹雄三シリーズって外見が本郷さんと似てますね。
キャラは全く違っていて、読むと本郷さんの方が愛らしいのだけれど。
●漫画・うんちく居酒屋(室井まさね)/角川ComicWalker
単行本は全1巻。
まとめ
最後の方はただの雑談になってしまいましたが、興味が沸いたら、期間限定無料のこの機会にお試してください。
自分は先日の200円セールの時に買ったのですが、2巻を買う気にはなりませんでした。嫌いではないのですが、1巻のみでお腹いっぱい。私には『野武士のグルメ』や『百合子のひとりめし』の方がしっくりきました。
時間が経って、小腹がすいたら試してみようかな…。
それでは良い週末をお過ごしください。